枡野俊明著書「禅が教えてくれる美しい時間をつくる「所作」の智慧」という本がある。
そこに【朝、そこにいない人にお茶を差し上げる習慣】と題して、朝そこにいない人に
お茶を差し上げることは、結んでいただいているご縁のありがたさを感じる瞬間であり、
誰かのためになる何かをする。誰かに喜んでもらえる。自分は措いてまず、その人にお茶を差し上げる所作は、
まさしく仏教でいう「利他」である。と述べられている。
そういう風に過ごせる時間は、なんと美しいことだろうとも述べられている。
祥水園特養では、毎朝、職員が辯天様に新鮮なお水と沸かしたてのお茶をお供えする。
業務といえども、そこにはおのずと美しい「利他」の形が生まれる。
軽費や慈泉庵でも、ご利用者や職員が辯天様に沸かしたての朝一番のお茶をお供えする。
自分の庭に咲いたお花をお供えする。
「そこにいない人のために」心を配り、祈りをささげる。そこにいるがごとく、語りかける。
美しい行為が、習慣となって、いつの間にかその美しい行為が、
その人の人格を作り上げるのではないかとこの頃思うようになった。
祥水園は、美しい「所作」を生む場所として存在している。
園長 塩﨑万規子